日産キックスで車中泊はできる？段差を解消して快適に過ごす方法 | SUVといえばグッドスピードGOOD SPEED

スタイリッシュなデザインとe-POWERの走りが魅力の日産キックスに興味があるけれど、「車中泊はできるの？」と疑問をお持ちではないでしょうか。

結論から言えば、キックスでの車中泊は可能ですが、快適に過ごすためには「ある大きな課題」をクリアする必要があります。

本記事では、キックス特有のシートアレンジの注意点から、低予算でできる段差解消テクニックを紹介します。

日産キックスで車中泊は可能？

外観やe-POWERによる走りが魅力的なキックスは、「コンパクトSUVだから狭いのでは？」と不安視されることも少なくありませんが、結論から言えば車中泊は可能です。ただし、ミニバンのように無条件で快適というわけではありません。

まずは、キックスの室内空間が、大人が寝るために十分なサイズを持っているか、具体的な数値を検証します。

フルフラット時の奥行きと幅

後部座席を倒しただけの奥行きは、約170cmとなります。ただし、前席を最前端へスライドさせて背もたれを倒すことで、最大約190cmの縦スペースを確保できると言われています。

横幅はタイヤハウス間で約100cm、最大部で約120cmです。セミダブルベッドより少し狭い程度の空間ですが、工夫次第で就寝スペースを作り出せます。

ソロ（1人）なら余裕

1人での車中泊なら、キックスは快適な個室になります。助手席側をフル活用し、対角線上に斜めに寝ることで、身長170cm以上の方でも足を伸ばせます。

寝床の横には十分な余白が残るため、着替えやクーラーボックスなどの荷物を置くスペースも確保でき、ソロキャンプの延長として楽しむには十分な広さです。

デュオ（2人）は工夫が必要

2人の場合は、密着しながらの就寝を覚悟する必要があります。横幅120cmに大人2人が並ぶと、肩が触れ合う距離感です。身長が高い人は斜めに寝られないため、前席との隙間をクッションで埋めて縦の長さを稼ぐ工夫が必須になります。

また、就寝スペースで床が埋まるため、荷物はルーフボックスや前席足元へ逃がすパッキング技術が求められます。

最大の課題「ラゲッジの段差」実態と解消法

キックス車中泊の成否を分ける最大の壁は、後部座席を倒した際に現れる「大きな段差」です。この段差を放置して寝てしまうと、翌日の激しい腰痛などにつながる可能性があります。

以下では、なぜ段差ができるのか、そして予算に応じた3つの具体的な解決策を解説します。

後部座席を倒しても平らにならない？

後部座席の背もたれを前に倒すと、荷室の床面に対して背もたれ部分が十数cmほど高くなると言われています。これはシートの厚みや、バッテリー配置による構造上の仕様です。

無視できないくらいの高低差が背中のあたりにくる可能性があるため、薄いマットを敷いただけでは腰が「くの字」に折れてしまうリスクがあるでしょう。そのため快適に眠るには、この隙間を埋める作業が大切です。

段差を埋める3つのアプローチ

段差解消には、予算と手間によって3つの選択肢があります。1つ目は、費用がかかるが確実な「専用品」を使う方法です。2つ目は、手持ちのアイテムを使う「流用」による解決方法となります。そして3つ目は、ホームセンター等の材料で作る「DIY」です。

どれを選ぶかで、準備の手間とその後の寝心地が大きく変わります。それぞれの特徴を、以下で見ていきましょう。

確実な寝心地：専用段差解消マット

最も手軽で完璧なフラット面を作るなら、車種専用設計のマットを使う方法がおすすめです。「くるマット」等の名称で販売されており、キックスの段差形状に合わせて成形されています。

置くだけで段差が消えますが、価格は数万円程度と高価になります。しかし、快適性が向上するため、頻繁に車中泊をするのなら、投資の価値は十分にあるでしょう。

ニトリやキャンプ用品：インフレーターマット活用

コストを抑えたい場合は、厚手のインフレーターマット（自動膨張式）を活用する方法があります。マット単体で段差を消すのではなく、低いラゲッジ部分に長座布団や毛布などを敷き詰め、高さを合わせてからマットを敷きます。

手持ちのキャンプ道具を流用できるため、コスパに優れた方法だと言えるでしょう。すでにキャンプグッズがある程度そろっているのなら、流用してみるのもおすすめです。

100均・ホームセンター活用DIY

DIYに興味があるのなら、100均やホームセンターの商品を活用して快適な空間を確保する方法も検討できます。例えば「発泡スチロールブロック」を土台にし、その上に100均の「ジョイントマット」や銀マットを重ねて高さを調整することが可能です。

安価に自分だけの寝床を作れるうえ、汚れたら気軽に交換できるのもDIYならではのメリットです。慣れてくれば自分の身体にピッタリとあった、世界に一つだけの段差解消マットを作れるかもしれません。

車中泊のメリットと注意点

e-POWERを搭載するキックスは、エンジンで発電してモーターで走るため、車中泊でも独特のメリット・デメリットがあります。

ガソリン車ともEVとも違う、e-POWERならではの夜の過ごし方と、周囲へのマナーに関わるエンジン音対策について解説します。

エンジン停止でエアコンは使える？

バッテリー残量がある間は、エンジン停止状態でエアコンが使えますが、残量が減ると自動的にエンジンがかかり発電を始めます。一晩中エアコンを使うと、「静寂」と「発電音」を繰り返すことになります。ガソリン車のように常時アイドリングする必要はありませんが、完全に無音ではない点を理解しておきましょう。

深夜のエンジン始動音対策と「マナーモード」の活用

静かな夜のキャンプ場で突然エンジンがかかると、周囲に騒音が響き渡ってしまいます。対策として、寝る直前に「チャージモード」で強制的に充電し、エンジン始動までの時間を稼ぐのが有効です。また、早朝の出発時には「マナーモード」を使うことで、極力エンジンをかけずに静かに移動できます。

大容量バッテリーからの給電はできる？

キックスには家庭用コンセント（AC100V）が標準装備されていないケースが多く、電子レンジなどが使えるほどの給電能力はありません。あくまでスマホ充電用と考え、電気毛布などを使いたい場合は「ポータブル電源」を持参するのが賢明です。バッテリー上がりのリスクを避けるためにも、外部電源を用意しましょう。

キックス車中泊を快適にするアイテム

キックスで車中泊をするのなら、快適性を高めるアイテムを使うのもおすすめです。

以下では、車中泊で大活躍するアイテムを紹介します。

プライバシーを守る「専用サンシェード」

夜間に車内で明かりをつけると、外から丸見えになります。防犯と断熱のため、全窓を覆うサンシェードは必須です。

タオルなどで代用せず、隙間なく埋まる「車種専用設計」を選びましょう。冬場の冷気遮断にも大きな効果を発揮し、車内温度を快適に保ってくれます。

換気と虫除けを両立する「ウィンドウネット」

エアコンを使わず自然の風で眠りたい場合、窓を開けると侵入してくる虫対策が必須です。おすすめなのが、ドアに被せる「ウィンドウネット（車用網戸）」です。これがあれば窓を全開にしても、虫をシャットアウトして心地よい風だけを取り込めます。

限られたスペースを有効活用「天井収納ネット」

床面が寝る場所で埋まるキックスでは、荷物の置き場に困ることも少なくありません。そこでアシストグリップを利用して、「天井収納ネット」を設置するのもおすすめです。

着替えやタオル、シェードの袋などの軽量物を頭上に収納すれば、就寝スペースを圧迫せずに広々と過ごすことができます。

まとめ

キックスでも、工夫をこらせば快適な環境で車中泊が可能です。専用アイテムやDIYで作ったマットを活用して、段差をフラットにできれば、気持ちよく車内で眠ることができるでしょう。

この機会にキックスの車中泊において重要なポイントと、快適性を高めるアイテムなどについてぜひチェックしてみてください。