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「お客さんから受け入れした下取り車は、インボイスの対象になる?」
「税額控除を受けるための方法はある?」
このように悩まれている業者様は多いのではないでしょうか。
控除を受けられるかどうかや、受けるための方法を知らないと損するリスクがあるため、知っておくことは大切です。
そこで本記事では、控除を受けられるのか不安に感じている方に向けて、下取りした車のインボイス制度の取り扱いがどうなるのかを解説します。
インボイス制度がもたらす自動車販売各所への影響や仕入れ税控除を受ける要件などを解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
インボイス制度とは?
インボイス制度がもたらす自動車販売各所への影響
ディーラーが受ける影響
個人から車を買取・下取りする際の影響
下取り金額に影響する?
下取りがある場合の取り扱い方
仕入税額控除を受ける条件
控除には適格請求書が必要
下取りの場合は特例が認められる
一定の事項に含まれる内容
リサイクル預託金はインボイス制度の対象!
適格請求書の発行対応
リサイクル預託金とは
まとめ
インボイス制度とは?
消費税の仕入額控除を受けるために適格請求書を発行・保存する制度です。
海外では当たり前のように適用されていた制度で、日本では令和5年(2023年)10月1日から制度がスタートしました。
日本がこの制度を導入することに決めた理由は、取引で発生する消費税率と消費税額を正しく計算し、正しく納税するためです。
この制度による納税が必要な事業者は「課税事業者」と呼ばれ、納税する必要がない業者を「免税事業者」と呼びます。
課税事業者は自動的になるものではなく、手続きが必要です。
なお条件があり、以下を満たすと課税事業者になれます。
・基準期間における課税売上高が1,000万円を超える
・特定期間における課税売上高が1,000万円を超える
・適格請求書発行事業者に登録する
上記に該当しない場合は免税事業者となります。
ただし、売上高の条件を満たさなくても適格請求書発行事業者に登録すれば課税事業者になることができます。
インボイス制度がもたらす自動車販売各所への影響
インボイス制度がスタートしてから1年4か月が経過しました。
自動車販売各所へは、どのような影響をもたらしているのでしょうか。
ここでは、ディーラーが受ける影響、個人との取引、下取り金額への影響や取り扱い方について解説します。
ディーラーが受ける影響
インボイス制度がディーラーにもたらす影響は、ないケースとあるケースの両方があります。
影響がないケースは、一般消費者との取引で発生する売上です。
このような場合、ネット販売であっても対面販売であっても変わりません。
反対に影響を受けるケースは、業者同士での取引で発生する売上です。
このような場合、税負担が増えないように課税事業者の登録をしてほしいといった交渉を持ちかけられる可能性があります。
以降ではより具体的に影響をお伝えします。
適格請求書発行事業者の登録がいる
まだ登録していない場合は、適格請求書発行事業者の登録手続きを行う必要があります。
推奨されている登録方法は「e-Tax」を利用することです。
税務署に足を運ばずに、オンライン上で手続きを進められるのが魅力です。
申請の際に登録日を記載すると、希望日に課税事業者に切り替わる仕組みです。
また、一度登録したら2年間免税事業者に戻ることはできません。
なお、個人事業主は2年間遡って登録できます。
免税事業者の売り手・買い手は仕入税額控除を受けられない
中古車を売却する業者が免税事業者である場合、買い手は仕入税額控除を受けられません。
それにより、納税する消費税の金額が増えます。
なお、買い手は売り手に対して課税事業者登録を促すことは法律上できないため、注意してください。
個人から車を買取・下取りする際の影響
個人から車を買取や下取りする場合、原則として控除を受けられません。
なぜなら、適格請求書の発行をお願いできないためです。
発行できるのは個人事業主や企業と定められています。
ただし、新たに定められた「古物商特例」により、控除が認められる可能性があります。
なお、一定の条件を満たす必要があり、一つでも該当しない場合は特例は認められません。
下取り金額に影響する?
下取りした車がインボイス制度の影響を受けることはないため、金額が減ったり増えたりすることはありません。
先ほどお伝えしたとおり、控除を受けるにあたって、インボイス制度の適用に必要な適格請求書の発行は、一般消費者から下取りした場合は不要です。
では、特例として控除が認められる「古物商特例」とはどのようなもので、また認めてもらうための要件とは一体何でしょうか。
古物商特例の概要
古物商特例とは、買取店や質屋といった一般消費者を相手に中古品を扱う業者に向けて作られた特例です。
控除を受けたい場合でも一般消費者は発行できないため、買取業者は消費税を負担することで不平等になってしまいます。
このような状況を生まないために、古物商特例が制定されました。
古物商特例が認められる要件
古物商特例が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・質屋もしくは古物商を行う業者であること
・仕入れた古物・質物が適格請求書を発行できない方からのものであること
・仕入れた古物・質物が、買取した業者にとって棚卸資産(消耗品を除く)であること
・一定の事項を記帳した帳簿を保存すること
一定の事項では、取引相手の詳細情報や取引の日付、取引額など、取引に関する詳細情報を記入することが求められています。
下取りがある場合の取り扱い方
下取りを行う取引がある場合、課税資産の譲渡などや課税仕入れの取引を同じタイミングで行うことになります。
そして、それぞれ同じ取引とはならず別々に考える必要があります。
新車購入費用から下取り金額を差し引いた差額分を、課税資産の譲渡などの対価の額としては取り扱えないのです。
たとえば、400万円で新車を購入してもらい、20万円の下取り額が発生したとすれば差額は380万円となります。
このときの課税資産の譲渡などの対価を、差額の380万円として計算はしません。
課税仕入れの扱いになるのは400万円、課税資産の譲渡などの対価額は下取り金額の20万円となります。
仕入税額控除を受ける条件
仕入税額控除を受けられるようにしたい方は、以下の条件を満たしてください。
・適格請求書を発行してもらう
・特例を活用する
では、一つずつ解説するとともに、特例を活用するために満たさなければならない一定の事項についての詳細もお伝えします。
控除には適格請求書が必要
インボイス制度の控除を受けたいのであれば、必ず相手から適格請求書を提出してもらう必要があります。
相手が免税事業者である場合や一般消費者である場合は発行してもらえないため、原則控除を受けられない点を覚えておきましょう。
下取りの場合は特例が認められる
一般消費者や免税事業者との取引で下取りを行い車を引き取る場合、もしくは買取店が車を買取した場合は、特例が認められます。
なお、相手が業者である場合は発行してもらい、それを自社で保存すれば特例を活用せずに控除を受けられます。
一定の事項に含まれる内容
次の内容が一定の事項に含まれる項目です。
・取引相手の氏名もしくは名称
・取引相手の住所または所在地
・取引した年月日
・取引の内容
・支払対価の額
・古物商特例または質屋特例の対象である理由
取引相手の氏名や名称は、相手が免税事業者であればその会社名を記入してください。
なお、取引相手の氏名もしくは名称の記載については必須ではなく、1万円未満の取引だった場合などでは不要です。
リサイクル預託金はインボイス制度の対象!
リサイクル預託金はインボイス制度の対象となるため、どのような発行対応をするのか知っておきましょう。
適格請求書の発行対応
リサイクル預託金に含まれる情報管理料金と資金管理料金は、消費税が発生するため発行が必要となります。
情報管理料金は、中古車の取引が行われる場合に発行対象となります。
資金管理料金は、新車の購入時、もしくは中古車の取引(未預託の料金が発生した場合に限る)が行われたときです。
リサイクル預託金とは
車を廃車にする際、スクラップをしてパーツの再販や鉄屑として再販するといったリサイクルが行われます。
リサイクルをする際に発生する費用を、車の購入者が事前に支払ったものを「リサイクル預託金」と呼ぶのです。
なお、徴収している証としてリサイクル券が渡され、車検証や自賠責保険書と併せて保管します。
全項目で5つあり、これらをまとめてリサイクル預託金と呼びます。
そして、その5項目の一つが情報管理料金と資金管理料金です。
まとめ
税金に関する手続きは要件が細かく決まっており、複雑で混乱をする方もいるかもしれません。
要点をまとめると、下取り金額はインボイス制度の影響を受けないこと、控除を受けたい場合は一定事項を記入した記帳を保存することが大切です。
また、下取り取引きの仕分けする際は、車の購入費用を課税仕入れ扱いとし、課税資産の譲渡などの対価額は下取り金額で計上してください。
よくある質問
Q1.下取り車に消費税はかかる?
車の買取は仕入扱いになるため、消費税はかかります。
Q2.中古車を買うときに消費税が発生する内容は?
車両本体価格と販売店手数料に対して10%の消費税がかかり、税金や自賠責などはかかりません。

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