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目次
事業用の車を買取してもらう際の経費処理の考え方
直接法と間接法 税込と税抜 売却益の売却損 減価償却の定額法と定率法 使用する勘定科目
事業用の車を買取してもらった際の経費の仕訳方法
法人の場合の仕訳方法 直接法(税抜) 間接法(税抜) 個人事業主の場合の仕訳方法 直接法(税込) 間接法(税込) 譲渡所得の場合は最大50万円の特別控除が受けられる
事業用の車を買取してもらう際の経費を節税するコツ
3月末までに買取してもらう 下取りより買取を選ぶ 個人事業主の家事按分は基本的に全額経費にできる 後付けしたオプションは経費に計上できる 仕訳の計算が難しい場合は税理士に頼る
減価償却が終わった後の車の仕訳方法
まとめ
事業用の車を買取してもらう際の経費処理の考え方
事業用の車を買取に出す際の仕訳方法には、いくつかの選択肢があります。
直接法や間接法、税込や税抜など、さまざまな組み合わせにより、仕訳方法が異なってきます。
まずは、それぞれの違いや意味を確認していきましょう。
直接法と間接法
事業用の車を買取してもらう際の経費処理には、直接法と間接法の2つの仕訳方法があります。
直接法は、あらかじめ取得価額から減価償却費を差し引いた金額を資産価値として記入する方法です。
この方法のメリットは処理がシンプルでわかりやすく、資産の帳簿管理が簡潔になるところです。
一方、間接法は取得価額と減価償却費を別々として記入する方法で、購入時の金額と差し引かれた金額が一目でわかりやくなるところがメリットとなります。
税込と税抜
帳簿に記入する金額には、「税込」と「税抜」の2つの方法があります。
違いはシンプルで、「税込」は消費税を含めた金額を記入し、「税抜」は本体価格と消費税を分けて記入する方法です。
事業者が消費税の納付や還付の対象となる場合は、消費税と本体価格を分けて記録できる税抜での処理が適しています。
税額を正確に把握でき、申告の際にも便利です。
一方で、消費税の申告が不要な事業者などは、税込で処理した方がシンプルでわかりやすいでしょう。
売却益の売却損
事業用の車を買取してもらう際は、買取額に利益が生じる「売却益」と、買取額に損失が発生する「売却損」があります。
2つの異なる点は利益が出るか損失が出るかの違いです。
仕訳方法は後述しますが、法人と個人事業主で異なるため注意しましょう。
減価償却の定額法と定率法
減価償却とは、固定資産である車などに対して、その価値が毎年減少していく考え方です。
たとえば、100万円の車の価値が毎年20万円ずつ減っていくとすると、その20万円をその年の経費として計上するといった様子です。
また、減価償却の方法には「定額法」と「定率法」があります。
定額法は、毎年同じ金額を計上する方法で、計算がシンプルなところがメリットです。
一方、定率法は最初の年に多くの金額を計上する方法です。
こちらの方法は、後年になって車の修繕費がかかってくるなどした際に、合理的な費用配分ができるところがメリットとなります。
仕訳方法は、どちらを使用しても構いませんが、選ぶ方法によって金額が大きく変わってくるためケースに合わせて選ぶと良いでしょう。
使用する勘定科目
個人事業主と法人では、使用する勘定科目が異なる点についても注意が必要です。
以下に車買取時によく使われる勘定科目について記載しておきますので、参考にしてください。
よく使われる勘定科目 |
記入方法 |
|
法人 |
個人事業主 |
|
売却利益 |
固定資産売却益 |
事業主借 |
売却損失 |
固定資産売却損 |
事業主貸 |
リサイクル預託金 |
リサイクル預託金 |
|
消費税 |
仮受消費税 |
|
現金または普通預金 |
現預金 |
|
車両運搬具 |
車両運搬具 |
|
減価償却累計額 |
減価償却累計額 |
上記のように、「売却利益」と「売却損失」に関しては、記入方法が異なりますので注意しましょう。
事業用の車を買取してもらった際の経費の仕訳方法
事業用の車を買取してもらった際の仕訳は、法人と個人事業主で異なります。
ここでは、以下のケースに沿った仕訳方法を紹介していきます。
減価償却累計額 ※3/4と仮定して計算:1,000,000円(909,091円)
リサイクル預託金:20,000円
買取額:1,500,000円(1,363,636円)※リサイクル預託金を除く
仮受消費税:136,364円
※()は税抜
法人の場合の仕訳方法
法人の仕訳方法は、以下のポイントに沿って計上します。
売却によって利益が生じた際は「固定資産売却益」として貸方に記載
売却によって損失が出た場合は「固定資産売却損」として借方に記載
税抜計上を選択した場合、消費税は「仮受消費税」として貸方に記載
上記のポイントに沿って、法人の仕訳方法を次の章で紹介します。
なお、法人は税抜で記入することが多いため、今回は税抜で紹介します。
直接法(税抜)
法人で直接法(税抜)を選択した際の仕訳方法は以下のとおりです。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
現預金(買取額) |
1,500,000円 |
車両運搬具(残価価額) |
909,091円 |
現預金(リサイクル預託金) |
20,000円 |
リサイクル預託金 |
20,000円 |
仮受消費税 |
136,364円 |
||
固定資産売却益 (買取により得た利益) |
454,545円 |
||
合計 |
1,520,000円 |
合計 |
1,520,000円 |
※固定資産売却益=現預金(買取額)−車両運搬具(残価価額)−仮受消費税
間接法(税抜)
法人で間接法(税抜)を選択した際の仕訳方法は以下のとおりです。
間接法(税抜)の場合は以下のとおりです。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
現預金(買取額) |
1,500,000円 |
車両運搬具(購入時の価額) |
3,636,363円 |
現預金(リサイクル預託金) |
20,000円 |
リサイクル預託金 |
20,000円 |
減価償却累計額 (購入から買取までに償却された額) |
2,727,272円 |
仮受消費税 |
136,364円 |
固定資産売却益 (買取により得た利益) |
454,545円 |
||
合計 |
4,247,272円 |
合計 |
4,247,272円 |
個人事業主の場合の仕訳方法
個人事業主の仕訳方法は、以下のポイントに沿って計上します。
売却によって利益が生じた際は「事業主借」として貸方に記載
売却によって損失が出た場合は「事業主貸」として借方に記載
税込計上を選択した場合、消費税を含んだ額をそのまま記載
上記のポイントに沿って、法人の仕訳方法を次の章で紹介します。
なお、個人事業主の場合は、税込を参考例として紹介します。
直接法(税込)
個人事業主で直接法(税込)を選択した際の仕訳方法は以下のとおりです。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
現預金(買取額) |
1,500,000円 |
車両運搬具(残価価額) |
1,000,000円 |
現預金(リサイクル預託金) |
20,000円 |
リサイクル預託金 |
20,000円 |
固定資産売却益 (買取により得た利益) |
500,000円 |
||
合計 |
1,520,000円 |
合計 |
1,520,000円 |
間接法(税込)
個人事業主で間接法(税込)を選択した際の仕訳方法は以下のとおりです。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
現預金(買取額) |
1,500,000円 |
車両運搬具(購入時の価額) |
4,000,000円 |
現預金(リサイクル預託金) |
20,000円 |
リサイクル預託金 |
20,000円 |
減価償却累計額 (購入から買取までに償却された額) |
3,000,000円 |
固定資産売却益 (買取により得た利益) |
500,000円 |
合計 |
4,520,000円 |
合計 |
4,520,000円 |
譲渡所得の場合は最大50万円の特別控除が受けられる
事業用の車を買取してもらった際に、収益が出た場合は「譲渡所得」の適用となり、所得税を支払う必要が出てきます。
しかし、譲渡所得で支払う所得税は「特別控除」が設けられており、最大50万円までの控除が受けられます。
特別控除を含んだ譲渡所得の具体的な計算方法は、以下の通りです。
ただし、特別控除は買取した車の所有期間によっても異なり、具体的には5年以上の場合は受けられる控除額が半額になります。
事業用の車を買取してもらう際の経費を節税するコツ
事業用の車を買取してもらう際、経費を節税するためにはいくつかのポイントに注意する必要があります。
以下に5つのポイントを紹介しますので、参考にしてください。
3月末までに買取してもらう
車を所有する方は、必ず税金や保険料を支払う義務が発生します。
その中でも「自動車税」は、毎年4月1日時点で車を所有する方にかかってくる税金のため、3月末までに買取してもらえれば、残存期間に合わせた還付が受けられます。
なお、そのほかの自動車重量税に関しては、廃車が条件となっているため還付はありません。
また、軽自動税に関しても1年払いのみとなっているので、こちらも還付はないことを覚えておきましょう。
下取りより買取を選ぶ
車を買取に出す際、ディーラーで下取りしてもらうよりも、中古車買取業者で買取を選ぶほうが高く買取できるケースが多いです。
高く売れると、それだけもともとの値段との差が小さくなるので、利益が少なくなり、かかる税金も少なくて済みます。
個人事業主の家事按分は基本的に全額経費にできる
個人事業主の場合は、家賃や光熱費、自家用車の維持費などを経費として計上できる「家事按分」があります。
事業用として車を使用している場合、家事按分をすべての費用を経費として計上できます。
ただし、以下の条件を満たす必要があるため注意が必要です。
・車検証や納税書類に会社や屋号の名前が記載されていること
・使った燃料費や走った距離を記録していること
・日常用途ではほとんど利用されていないこと
後付けしたオプションは経費に計上できる
事業用の車を購入した際の費用は経費に計上できますが、後から取り付けたオプションも計上可能です。
たとえば、カーナビやドライブレコーダーなどは、30万円未満であれば経費として扱えます。
ただし、以下の条件があるため注意しましょう。
従業員が500名以下の中小企業である
経費にできるのは年間300万円まで
仕訳の計算が難しい場合は税理士に頼る
ここまで、事業用の車を買取する際の仕訳方法を紹介してきましたが、計算や記入方法が複雑に感じた方も多いと思います。
複雑に感じる場合は、仕訳の専門家である税理士への依頼を検討しましょう。
税理士に依頼すれば、計算や仕訳を任せられ、記入ミスやトラブルも回避できます。
また、節税方法も提案してくれるので利用する価値があります。
減価償却が終わった後の車の仕訳方法
事業用の車を買取したもらう際、減価償却が終わった後の車の仕訳方法はどうすれば良いのか、疑問に思う方も多いと思います。
この場合は、譲渡経費として1円で計上するのが一般的です。
たとえば、減価償却が終わった後の車を20万円で買取してもらった場合は、以下のように計上します。
上記のように199,999円を譲渡所得として計上します。
ただし、個人事業主の場合は最大50万円(使用年数が5年以上の場合は半額)の特別控除が受けられますので、買取額が50万円以下の場合を除き所得税は発生しません。
まとめ
本記事では、事業用の車を買取してもらう際の仕訳方法を、法人と個人事業主に分けて解説し、加えて経費を節税するコツも紹介しました。
車の売却に関する会計処理は、税金や経費の計算に直結するため、正確に対応することが重要です。
内容が複雑に感じる場合や不安がある場合は、専門家である税理士に相談すると安心です。
車の売却や買い替えを検討している方は、ぜひ今回の内容を参考に、より有利な選択をしてください。
よくある質問
Q1. 減価償却が終わった車を売却した場合の仕訳は?
減価償却が終了した車でも売却した場合は仕訳が必要です。
帳簿上の簿価がゼロでも、売却額に応じて「固定資産売却益」や「雑収入」などの勘定科目で処理を行います。
売却益が発生した場合は、課税対象になる点にも注意が必要です。
Q2. 車の売却によって赤字(売却損)が出た場合の経費は?
売却損は「固定資産売却損」として経費に計上できます。
帳簿上の残存価格よりも低い金額で売却した場合、その差額が損失となり、課税所得の圧縮につながります。
ただし、個人事業主の場合は、事業用として使用していた実態が明確であることが前提です。

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